cafe 的な空間から学んだこと

コミュニティビジネスやコミュニティカフェという言葉も聞くことがなかった2000 年頃。
「まちの交流交差点」という手作りの交流拠点の実現を夢物語のように思い描いていました。
そして2005 年、「cafe から始まるおもしろまちづくり」をキャッチフレーズとして港南台タウンカフェが誕生。少しずつ多様な活動が生まれだしてきました。

当初は「みんなが立ち寄れる気軽なカフェサロン」という漠然としたイメージしかなく、小箱ショップや、スペース貸し、まちの情報発信というアウトラインしか決まっていませんでした。
あれから10 年。小箱ショップに出店している方、イベントに参加した学生など、これまでまちづくりや地域に関心を持っていなかった方々、そして多くのボランティアや運営スタッフの方々が参画して、当時想像もしてなかった、さまざまなプログラムや活動・事業が生まれ育ちました。
これらの活動は、雑談の中で浮かんだアイディアやひらめき、時には飲み会の席で盛り上がったプランなど、些細なcafé での日常から生まれてきたこと、そして、さらにはこうした活動を通じて、お互いを認め合い、育み合う土壌ができたことが、港南台タウンカフェの大きな特徴であり、一番の収穫だと感じています。

そして、もう一つ、商店会や自治会をはじめとした地域のみなさまや、行政、関係機関のみなさまにこうした取り組みを温かく見守っていただき、時には受け入れて力をいただけたことは、活動を続ける上でとても大きな支えとなりました。心より感謝を申し上げます。
日常のつぶやきがカタチになっていくプロセスを共有し、地域や社会に主体的に関わるきっかけづくりとなり、さらには地域の多様な団体との連携も生まれてきた場、そんな、なんとなく港南台タウンカフェが目指してきた機能を、今回10 年を振り返る中で整理できたように思います。
港南台タウンカフェの活動を通して、何気なく地域やまちを意識し、関わるきっかけになった、そんな一人の「地域人」が、これからも誇らしげに、豊かに輝けるようなことが今後の地域には大切だなぁと、最近強く感じるようになってきました。
地域の豊かな土壌づくりのために、港南台タウンカフェとして果たすべき「ゆるやかな地域の結節点と課題解決のプロジェクト基地的な役割」をどう担っていくのか、大きな大きな宿題が10 歳のプレゼントなのでしょう。

2015年10月
株式会社イータウン代表 齋藤 保

 

<港南台タウンカフェ10年のあゆみより引用>